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2023
  • Nov.29
  • BRANDING

実は陥りやすい
「ブランディングの誤解」とは

 

いつもグラッシーデザインのホームページをご覧いただき誠にありがとうございます。

代表のナイトウです。

 

さて、今回は「ブランディングの誤解」のことについて書こうかと思います。

先日ちょうど、この度、任命いただきました山形県産業構造審議会の委員として会議に参加したのですが、そこで、掲げられた山形県次期産業振興ビジョンの中にも「ブランド力」という言葉がたくさん使われていました。

「なるほど!」と自分が選ばれた理由がすぐにわかりました

 

 

ブランド力とは?

 

「ブランド力」、皆さんはどのように捉えていますか?

 

ブランドというと、GUCCIやHERMES、LOUIS VUITTONなど高級ブランド品をイメージされる人が多いのではないのでしょうか。

もちろん、間違いではありません。ただ、単に高価なものという捉え方は少し違います

ブランドとは「概念と体験からなる人々の頭の中に形成されたイメージ」だと僕らは考えています。

ロゴマークや色、パッケージなどを概念となる要素と言い、逆に、安い、美味しい、CMや想い出などを体験となる要素と言います。ですから、GUCCIのように高価でなくとも、安価で良質なしまむらやユニクロもブランドですし、ミシュランの三つ星レストランのようなコース料理でなくとも、安くて早い吉野家だって立派なブランドなんです。

 

「じゃあブランド力って、有名って意味?」

 

それも間違いではありませんが、もっと深いです。

有名というのは、良くも悪くも多くの人に知られていることを意味します。

しかし、悪いことで有名になった企業や人を「ブランド力がある」とは言いませんよね。

ブランド力と言っても、捉え方や考え方は様々あります。

その上で、僕らが考えるブランド力とは信用価値によって積み上げられた認知度であり愛着だと考えています。

 

ブランド力についてお話ししましたが、ブランドやブランド力をまずは理解することで、わかりにくいな、難しそうだなっていう「ブランディング」についても少し理解しやすくなるんじゃないかと思います。

 

 

ブランディングの誤解

 

認知度、信用価値というワードが出ましたが、まさに僕らが行うブランディングはこの2つが核となってきます。

山形県産業構造審議会の会議でも少しだけ(制限時間5分だったので笑)お話ししましたが、ブランド力とは、製品や商品、サービスの質が素晴らしいからといって高まるわけではありません。それこそ、パッケージデザインやロゴマーク、ホームページなどといった見た目の美しさや統一感がブランディングだと誤解されやすいのですが、それも違います。確かにデザインだったり、ビジュアルの統一感というのはブランディングにおいて必要不可欠な手段の一つではありますが、ブランディング=デザインという考えは違いますね。

ブランディングはむしろ「見え方」というより「伝わり方」の構築で、例えばレストランであれば、美味しくない料理を美味しそうに見せることではなく、この店(人)なら美味しい料理を提供してくれるという信用の構築で、つまりはどう見せるか?ではなくどう伝わるか?という事なんです。

 

ビジネスでも採用でも得られる「信用価値」の度合いによって、今では選ばれるか選ばれないかが決まると言っていい。

ブランディングの目的はブランドが伝えたい事と、ステークホルダー(顧客や社員、取引先や求職者)の体験に差異をなくし信用価値を構築すること」にあります。

 

???

 

体験?差異?信用価値?

これだけ聞くと難しいですよね。笑

もう少しわかりやすく、皆が大好きマクドナルドを例に解説します。

 

 

 出典 https://www.mcdonalds.co.jp/family/

 

このように、ブランドが伝えたい事と体験に差異が無いことではじめてお客様から価値ある「信用」を得ることができますよね。

信用価値を得ることで顧客や社員、取引先や求職者との良質な関係性が築かれ、市場競争力は高まり、安定的な経営へ繋がっていきます。

これこそがブランディングの効果になります。

そして何より、信用とはお金をいくら積もうと決して買うことのできない、ブランドの重要な資産でありブランディングの成果です。

 

 

ブランディングは愛され方

 

ブランディングというと、スターバックスのようなオシャレな空間、心地の良いBGM、気持ちの良いサービスを提供してくれるスタッフ、そして美味しいドリンク、のように全てが洗練されたものを創り出すものとイメージをされる方が多いと感じます。もちろん、スターバックスもそれこそ計り知れない日々の企業努力の積み重ねによって世界中で愛されるブランドを築いていると言って過言ではありません。

何が言いたいかというと、ブランドをつくるのは「人」だということです。

ブランド力は愛着という話をしましたが、ブランドをつくるのは素晴らしいロゴでもパッケージでもカッコいいホームページでもありません。

「人」です。

これは声を大の大にして言いたい。

 

この「愛着」、つまりファン心理について、ある小さな定食屋のお話しをします。

 

_

 

海沿いの町になんてことない書体で書かれた看板の、なんてことない古びた定食屋があった。

店内は日に焼けたポスターが至る所に貼られ、テーブルには斜線や書き直した文字だらけの手書きメニュー。

厨房には、サッポロと書かれた年季の入ったTシャツを来たおっちゃんが中華鍋をあおり、どこに頼んだら施工してくれるんだっていうレトロなカウンターでは、三角巾をかぶり可愛らしいエプロンをつけたおばちゃんが付け合わせの小鉢を淡々と盛り付けている。

 

客席はカウンター席とテーブル席合わせて30席のごくごく普通のごくごく町中にある小さな店だ。

客席に洒落た呼び出しボタンなんか無いし、少し離れたテーブル席からは多少の声じゃ、おっちゃん、おばちゃんには届かない。厨房ダクトのグォー!っというとてつもない音と、中華鍋をあおる音、客の話声に消されてしまう。だからテーブルの客は腰を上げ、店の名前がでかでかとマジックで書かれたサンダルを履き、厨房の近くまで行き注文をする。それが自然に行われる。

水はもちろんセルフ。

だけど「この店はサービスが悪い!」などと言う客は1人もいない。

むしろ、客は自分でみな動く。

それが心地良いからだ。それが行きつけの店から得られるステイタスだからだ。

中には実家に帰って来たようなそんな感覚の客もいるんだろう。

 

しばらくすると、湯気出まくり出来たてアッツアッツの注文した定食を、おっちゃんが厨房から自ら出てきて客席へと運んでくる。

これがまた絵に描いたような無愛想。

だけど「感じ悪いオヤジだな!」と思う客がまた1人もいない。

いやそれは言い過ぎたかもしれない。

 

ただ、とにかく出てくる定食が「クソうまい」。

 

そう、だからここのおっちゃんはカッコいいのだ。

背中のサッポロの星マークがクソイカすのだ。

 

さらに、絶妙なタイミングでおばちゃんがゆっくりとやって来て「これ漬けたばかりのカブだから食べろ〜」と頼んでもないメニューを平気で出してくる。もちろんサービスだ。「最高だよ、おばちゃん!」。

 

もう、めちゃくちゃな店だ。

でもいつだって店は満席だ。

 

 

いかがでしたでしょうか?

マーケティングは売り方、ブランディングは愛され方だと僕は思っていて、まさにこの定食屋はそれを自然と体現しているんですよね。

ここのおっちゃんとおばちゃんだからこそ、そこに強いポリシーや想いがあるからこそ、それに共感し人が集まってくる。

そう、先にお話ししましたスターバックスとは全く違います。でもどちらも行列ができるほど立派な愛されるブランドなんです。

 

 

だいぶ要約した内容となってしまいましたが、「ブランディングの誤解」というテーマで解説をさせていただきました。

まだまだここでは書ききれないほどブランディングというのは奥が深いものです。

 

でも、本質はとてもとてもシンプルですよね?

 

ではまた。